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自分の為の書評

『プロカウンセラーの聞く技術』東山紘久

「ラジオやテレビのように一方的に聞くだけのものは、さほど負担にならないですが、人の話を聞くのは音楽やラジオ番組を聞くのと違って、相手の気持を理解しなければならないという負担が、聞き手にかかります。」ーーー『プロカウンセラーの聞く技術』 東山紘久

 この一文で面白そうと感じたら、ぜひ購入検討。

 

 

読み始めたきっかけ

 昔から聞き上手だったと思う。学生時代には多くの悩める男子女子から、日がな一日相談事を受け、生活が破綻することも。もはや依存。依存が高じて夢はカウンセラーに(以前は動物園の園長)。分厚い心理学の専門書と心理カウンセラーの資格本を買って、3日で放置、挫折。

 元号変わって令和2年。後輩とうまく行かない。大事な人のお話をよく聞けるようになりたい。カウンセリング欲再燃。カウンセリングは客体としての自分によって悦に浸る事が根本の欲ではないか。とにかく、池袋三省堂書店のフェアで見つけたベストセラーを読むことにした。

 

『プロカウンセラーの聞く技術』を要約すると

話し手には何がしかの問題が存在する。

しかし、問題そのものに対する聞き手の寄与には限界があり、聞き手にも問題が伝染する可能性がある。

それゆえに、滅私・奉仕・受け流しにより、話し手/聞き手双方が心の健康を保つことが大事である。

 

以下、章ごとの個人的ポイント(日々、随時書き足す)

1 聞き上手は話さない

「ラジオやテレビのように一方的に聞くだけのものは、さほど負担にならないですが、人の話を聞くのは音楽やラジオ番組を聞くのと違って、相手の気持を理解しなければならないという負担が、聞き手にかかります。」 

  人は基本話したがりである。それはどんな話下手でも、当てはまるし、嬉しいときでも悲しいときでも、そうである。聞き上手になるには、話したがりな自分を抑え、話したがりな相手の気持ちを"負担に感じない"ようにする訓練が必要である。

 この為の最も簡易な処方箋の一つが「話さない」こと。滅私。

  • 最初に話し出さない。
  • 相槌以外で話さない。
  • 沈黙しても話さない。
  • 反論したくとも話さない。素直に聞く。

 

2 真剣に聞けるのは、一時間以内

 「人の話を聞くのは疲れることだと認識していてください。」

 人の話を聞くのは疲れる。カウンセラーですら1時間で面談を切る。1時間以上の会話は、双方に話しているから許容されるのであって、一方的に聞き続けたなら、最悪の場合心理的な症状が出る可能性もある。人の話を聞くのは1時間まで。

 

3 相づちを打つ

  「相づちのかわりに「しかし」とか「けれど」とか「でも」という、逆説の接続詞や接続助詞が出てくるようになります。それではプロの聞き手としては失格。」

 相づちは肯定である。必ず相づちを打ちながら聞けば、話しては話しやすい。逆に相手の発言に対する自分の考え/気持ち、特に反対意見を持ち込んでしまえば、それはもう話しやすいという状態ではなくなる。


4 相づちの種類は豊かに


5 相づちはタイミング


6 避雷針になる


7 昔の主婦は聞き上手


8 自分のことは話さない


9 他人のことはできない


10 聞かれたことしか話さない


11 質問には二種類ある


12 情報以外の助言は無効


13 相手の話に興味をもつ


14 教えるより教えてもらう態度で


15 素直に聞くのが極意


16 聞き上手には上下関係なし


17 寡黙と「いま・ここ」の感覚


18 嘘はつかない、飾らない(オープンということ)


19 相手の話は相手のこと(わかるが勝ち)


20 評論家にならない


21 共感とは芝居上手


22 LISTENせよ、ASKするな


23 話し手の波に乗る


24 言い訳しない


25 説明しない


26 話には小道具がいる


27 お茶室は最高の場


28 したくない話ほど前置きが長い


29 聞きだそうとしない


30 秘密の話には羽がある


31 沈黙と間の効用

 

 

読んでみての感想

 正直読んでいる間は、書いてあることを全て実行するのは苦行以外の何物でもない、ただの滅私奉仕だ、話を聞いてあげたことによる見返りが無い限り、とても出来たもんじゃない。と感じていた。

 読み終わった直後にしても、職場の同僚とのランチで交わす何気ない会話、友人との飲み会、彼女との電話、あらゆる場面で「話したがりの自分」に気づいてしまうという、半強正ギプス的な効果が発揮され、いい気持ちがしなかった。

 が、しかし。少し時間が経つと、あら不思議。外山滋比古の「寝させる」が如く、普段の会話で自然に発揮できるのだ。滅私が。奉仕が。受け流しが。

 何が違うのかと書きながら考えたが、おそらく塩梅と役得を実体感を持って知得したことが大きい。つまり、実は100%聞き手という極端な状態は目指さず、相手が話したがっているポイントや瞬間を見つけてピンチヒッターのごとく聞き上手になってあげる。また、聞き上手になることにより、相手の以外な一面や、より深い部分の理解、よりより関係性に繋がった実感が得られた。

 割と良いではないか、聞き上手。聞くのは1時間が限度とあった。人は話したがりだが、話すのも限度があるのではなかろうか。聞くと話すをいい塩梅に混ぜると良い。少なくともそれが許される相手なら。そして今の所そういう相手でしか実践していない為、ほんまのカウンセリングでは違うと思われる。